シェンゲン・ビザの免除:180日間のうち90日まで

日本は、国民がシェンゲン圏での短期滞在ビザを免除される国のひとつです。そのため日本人は、観光、家族訪問、出張(会議、見本市)でパリを訪れる際、事前の手続きは必要ありません。免除の対象は、シェンゲン協定加盟29か国全体で180日間のうち最長90日です。イタリアやスイスに立ち寄った日数も、パリでの滞在と同じように日数を消費します。
ただし、雇用されて働くこと、移住すること、3か月を超えて留学することはできません。後述の長期滞在ビザをご覧ください。
90/180日ルールの計算方法
180日の期間は移動式です。滞在する各日について、当局はその前の180日間をさかのぼり、合計が90日を超えていないかを確認します。例:3月10日から5月8日まで滞在した場合(60日)、9月初めまでに使えるのは残り30日です。その後は3月の日数が計算期間から外れ、枠が空いていきます。入国日と出国日はそれぞれ丸1日としてカウントされます。EESの導入により、この計算は自動で行われ、超過があれば審査のたびに表示されます。
日仏二国間協定
フランスと日本の間には、シェンゲン協定以前に結ばれたビザ免除協定があります。在日フランス大使館によると、この協定により、シェンゲン圏での90日を使い切った日本人は、フランス本土に限り、ビザなしでさらに90日滞在できます。ただし、この制度は航空会社にあまり知られておらず、就労や社会保障の権利は一切なく、EESとの関係もはっきりしていません。大使館は、この協定に頼るより長期滞在ビザを申請するよう勧めています。
ETIAS:欧州渡航認証はどうなっている?
ETIAS(European Travel Information and Authorisation System、欧州渡航情報認証制度)は、日本で導入予定のJESTAに相当する事前の電子認証で、日本人を含むビザ免除対象の旅行者はいずれ取得が必要になります。2026年9月時点で、ETIASは導入されていません。2026年第4四半期に予定されていた開始は新たな日付が示されないまま延期されました。欧州委員会は2026年7月に公式ページから期限を削除し、確定日は数か月前に発表するとしています。業界では2027年開始との見方がありますが、確認は取れていません。
予定されている内容は次のとおりです。
- 料金:1回の申請につき20ユーロ、オンラインで支払い。18歳未満と70歳以上は無料ですが、申請自体は必要です。
- 有効期間:3年間、またはそれより前にパスポートが失効する場合はその時点まで。複数回の入国が可能です。
- 審査期間:多くの場合は数分、一部の申請は最長30日。開始後は約6か月の猶予期間が設けられる予定です。
日本語のサイトも含め、すでにETIASの「予約」を受け付けているサイトには注意してください。現時点では申請は一切受け付けられていません。
EES:国境での生体認証審査

EES(Entry/Exit System、出入国システム)は2025年10月12日に段階的に始まり、2026年4月10日に全面運用が予定されていました。パスポートへのスタンプに代わってデジタルで記録する仕組みです。シェンゲン圏に初めて入国する際、国境警察が顔写真を撮影し、4本の指の指紋を採取します。データは3年間保存され、その後の入国では生体データを1つ照合するだけで済みます。
パリ=シャルル・ド・ゴール空港では、実際には次のようになります。初回の審査には時間がかかること、セルフサービスの事前登録端末(無料、任意)があること、そして2026年夏にはヨーロッパのいくつかの空港で待ち時間が数時間に及んだことです。各国に認められていた例外措置は2026年9月初めに期限切れとなりましたが、フランスを含む複数の国では引き続き容認されています。ターミナルや時間帯によって、完全な生体認証登録になることもあれば、手作業による審査になることもあります。帰りの便には早めに空港へ行き、乗り継ぎには余裕を持たせましょう。審査を通過したら、当サイトの空港から市内中心部への行き方ガイドが役立ちます。
パスポートと証明書類:求められる可能性のあるもの
パスポート
搭乗前に航空会社が確認する条件は2つです。
- シェンゲン圏を出国する予定日から3か月以上の残存有効期間があること
- 入国日の時点で発行から10年未満であること
5年用、10年用のどちらのパスポートでも問題ありません。紛失や盗難の後に領事館が発行する帰国のための渡航書は、日本へ帰国するためのもので、ヨーロッパでの滞在を始めるためのものではありません。これで旅行する場合は、事前に領事館に確認してください。
証明書類
審査は多くの場合、滞在の目的と期間を聞かれる程度で終わります。ただし、国境警察は次のものを求めることがあります。
- 帰りの航空券または第三国への航空券、あるいはそれを購入できる資金
- 宿泊の証明:ホテルの予約、親族や知人宅に泊まる場合は役所で認証された受け入れ証明書(attestation d'accueil)、賃貸契約書
- 滞在費:ホテル予約がある場合は1日65ユーロ、受け入れ証明書がある場合は1日32.50ユーロ、宿泊の証明がない場合は1日120ユーロ(France-Visasの目安額)
- 医療費、入院費、本国への搬送費をカバーする保険の証明書
実際には、クレジットカードと予約確認書があれば十分です。現地での支払いについては、パリでの支払いと現金の引き出しをご覧ください。
旅行保険
加入は義務ではありませんが、日本の健康保険は海外での医療費を一部しか、しかも事後にしか払い戻しません。本国への搬送も補償する旅行保険に入っておけば、高額な請求を避けられます。日本のクレジットカードには、航空券をそのカードで支払った場合に旅行保険が付帯されていることがよくあります。参考情報はパリでの緊急時と医療をご覧ください。
90日を超えて滞在する場合:長期滞在ビザ
90日を超える場合は、出発前にFrance-Visasを通じて、東京または大阪の申請センターで長期滞在ビザを申請します。よくあるケースは次のとおりです。
- ワーキングホリデービザ:18〜30歳が対象で、滞在費をまかなうために働きながらフランスに最長1年滞在できます。年間の発給数には上限があります。
- 学生ビザ(VLS-TS étudiant):教育機関への入学許可後、「Études en France」の手続きを通じて申請します。
- ビジタービザ(VLS-TS visiteur):働かずにフランスで暮らすためのビザ。十分な資金と民間の医療保険が必要です。
申請は出発の3か月前から可能です。審査には数週間かかり、VLS-TSは到着後3か月以内にオンラインで有効化する必要があります。ビザ手数料は約100ユーロで、正確な金額は申請時にFrance-Visasに表示されます。
特別なケース
- 二重国籍:日本は成人の二重国籍を公式には認めていませんが、日仏の二重国籍を持つ子どもはフランスのパスポートで渡航でき、期間の制限もETIASも不要です。
- 未成年者:子どもはそれぞれ自分のパスポートで旅行します。片方の親が同行しない場合は、同行しない親の書面による同意書があると審査がスムーズです。
- フランスでの運転:日本の運転免許証はラテン文字で書かれていないため、お住まいの都道府県の運転免許センターで発行される国際運転免許証か、公式翻訳(JAFが発行しています)を併せて携帯する必要があります。これがないとレンタカーを借りられません。
まとめ表
| 滞在期間と目的 | 必要な書類(2026年9月時点) |
|---|---|
| 観光、訪問、出張、180日間のうち90日まで | 有効なパスポート(出国後3か月以上の残存期間、発行から10年未満)、EES登録、ETIASは開始されるまで不要 |
| 同じ滞在、ETIAS開始後 | パスポート+ETIAS(20ユーロ、18歳未満と70歳以上は無料、有効期間3年) |
| フランスのみでの追加90日(二国間協定) | パスポート。ただし在日フランス大使館は長期滞在ビザを推奨 |
| 就労なしの6か月を超える滞在 | VLS-TSビジター、3か月以内にオンラインで有効化 |
| 90日を超える留学 | VLS-TS学生 |
| ワーキングホリデー、18〜30歳、最長1年 | ワーキングホリデービザ |
当日の空港で
羽田、成田、関西での搭乗前に、航空会社がパスポートを、場合によっては帰りの航空券も確認します。書類に不備があれば搭乗を拒否されます。シャルル・ド・ゴール空港では案内表示に従ってください。自動ゲートは一部の国籍にしか開放されておらず、EESの導入により、窓口または端末での初回登録が引き続き必要です。ホテルの住所と証明書類はすぐに出せるようにしておきましょう。日程を決めるにはパリ観光のベストシーズンを、美術館やエッフェル塔についてはパリでの事前予約をご覧ください。
さらに詳しく知りたい方へ
ここで紹介した情報は2026年9月時点のものです。ETIASとEESは導入の途中で、手続きは急に変わる可能性があります。出発前にFrance-Visasと在日フランス大使館のサイトを確認してください。アメリカからの旅行者向けには、この記事の姉妹編アメリカ人のパリ旅行とビザがあります。到着後すぐに連絡が取れるようにするにはフランスで使うeSIMとSIMカードの比較を、滞在エリア選びには予算別パリのホテルをお読みください。




